「三重奏」超短篇小説 vol.1 ― 2007年01月23日 20時44分59秒
昨日の雪で路面は凍結、止む無く電車を使っての通勤となった。 埼京線に乗るのは何年振りであろうか?
帰りの電車の中で暖房の効いた席と線路から伝わる程良い振動に 心地良くなり、ついついうたた寝をしてしまった。 電車のドアから入ってきた頬を刺す冷気で目を覚ますとそこは新都心。 危うくセーフである。 これまで何度失態を繰り返した事か? ほんの少し得した気分で次の大宮駅で下車。
大宮駅の改札を出て西口のベデストリアンデッキに向かった。 遠くからかすかに聞こえるギターをかき鳴らす音と歌声。 この寒いのに路上ライブとは? 風邪などひかなければ良いのだが?
駅からソニックシティーへとつながるベデストリアンデッキは 彼等にとっては格好のパフォーマンスライブ会場なのだ。 生ギター1本でストリートライブやっている少年がいた。 いつもは見向きもせずに通り過ぎる私だが。 曲はオリジナル曲のようだが、どこかで聴いたことのあるような メロディーラインがちょっと気になり立ち止まって聴いてしまった。
「いいメロディーだね」と声かをけると。 少年は、「有難うございます」と弾いていたギターの手を止め 深々とお辞儀をした。 (なんて、礼儀正しい少年なんだろう?) 良くみるとどうも目が不自由のようで、下には点字で書いた譜面が 数枚置いてあった。 すると彼は、譜面を1枚取り出して裸足の親指の腹で点字の譜面を 器用に辿りながら曲を弾き始めた。
演奏が終わって彼に聞いたところ、姉が1人で弟が1人の3人兄弟 との事。 なんと演奏している曲は、耳の不自由な姉が書いた詩に、声の不自由 な弟がメロディーを付けた曲で、兄弟3人の共同作品だそうだ。 唯一音楽を表現出来るのは長男の彼だけなのである。 この曲は「僕にとってはとても大切な曲なんです。最後まで聴いて くれて有難うございます。」と彼。 私の頬からは熱いものが流れ落ちた。
とてもハートが熱くなった、寒い月曜の晩だった。
超短篇小説スタート ― 2007年01月23日 20時36分28秒
ふと思いついた日常の閃きの中から短篇小説を書いて行きます。 超短篇なので1~2分で読み終えてしまうはずです。 長い物を書けるほどの力量はありません。 現実的な事、非現実的な事を題材にどこまで続けれるか判りませんが 書き綴って行きたいと思います。 不定期な投稿となりますが、お時間があれば読んでやって下さい。
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